すまもり村の収穫ショー
- 会 期
700年の歴史を持つ田んぼの収穫祭が舞台のパフォーマンスショー
南郷の島守地区にある中世から続く田んぼを活用した地域づくり「すまもり村」。その収穫祭に、南郷におなじみのこの人やあの人が華を添えるパフォーマンスショー。
700年前の中世の時代から農耕を続けている田んぼが南郷の島守にある――
そんなことが話題になったのは、2013年ごろのこと。古文書に、確かに今の島守の地形の条件と一致する記述があり、過去と今の田んぼがつながった。
その後、田植えや稲刈りといった米作り体験イベントで田んぼのPRや地域活性化につなげようと、「すまもり中世の田んぼクラブ」が発足。“すまもり”というのは“島守”の訛りだが(諸説あり)、そのせいで、古文書の地名から現在の地名を探し当てる調査が難航したというのはオマケの話。
田んぼクラブの中核メンバーとなるのは、南郷アートプロジェクトには欠かせない地元の頼もしい兄貴たち「沢代キュートン」。結婚式の余興で披露した某・お笑いユニットのパロディダンス(ポージング、と彼らは言う)を発端に、ダンサーの森下真樹と出会ってさらにパワーアップ。今では夏祭りなどに出ると黄色い歓声が飛ぶほどの人気パフォーマンスグループ(!?)でもある。
田んぼクラブは、毎年秋に地域の営農組合と一緒に収穫祭を行っていて、今年は芸術祭期間とも重なるので一緒に収穫祭を盛り上げようと「収穫ショー」の実施に至った。収穫祭会場近くの田んぼを借りたいというお願いも快諾いただき、島守盆地の山と空を借景とした田んぼの中の特設舞台が実現した。
出演は、南郷アートプロジェクト最初の企画、パレードを機に発足したジャズバンド「Augusta Summit Band 浪男’s DX」に、地元に愛される芸能「島守虎舞」、そして沢代キュートンが登場するラインナップ。
トリは、森下真樹。トラクターで登場するという相変わらず奇想天外な演出ではじまり(下見の際にキュートンと話す中で沸いたアイディアが瞬く間に実現に至った)、森下真樹がここ何年か取り組んでいるベートーヴェンの「運命」より、歓喜を表す第4楽章を踊る。盆地の底から高く広がる空の下、雲に見え隠れする太陽光線をあびながら、全身全霊で、最後には立てなくなるほどエネルギーを使い果たして踊る様は、圧巻であった。
舞台の後ろで、白鳥が二羽飛んだ。収穫祭と芸術祭も最終日、白鳥は島守に冬を告げにきたのだろうか
概要
- 名 称
- すまもり村の収穫ショー
- 日 程
- 2018年11月11日
- 場 所
- 八戸市南郷島守地域内田んぼ
- 出演
- 森下真樹(ダンサー・振付家)、沢代キュートン(ポージングユニット)、島守虎舞(郷土芸能)、Augusta Summit Band浪男’s DX(ディキシージャズバンド)
- 入場料
- 無料
- 助成
- 平成30年度 文化庁 文化芸術創造拠点形成事業
プロフィール
森下真樹
幼少期に転校先の友達作りで開発された遊びがダンスのルーツ。これまで 10 カ国 30 都 市以上でソロ作品を上演。現代美術家・束芋とのコラボレーション作品『錆からでた実』 や MIKIKO、森山未來、石川直樹、笠井叡という全く異なるバックグラウンドを持つアー ティストが各楽章の振付を担当するソロ「ベートーヴェン交響曲第5番『運命』全楽章を踊る」など、ジャンルにとらわれない活動をする。2016 年には個性豊かな若手ダンサーらを中心に実験的な場を求め、ダンスカンパニー「森下スタンド」を発足。100 人100 様 をモットーに幅広い世代へ向けたワークショップや作品づくりを行う。周囲を⼀気に巻き 込み独特な「間」からくる予測不可能、奇想天外ワールドが特徴。
2014 年第 8 回日本ダンスフォーラム賞受賞。2015〜2017 年(公財)セゾン文化財団シニアフェロー。 ※南郷アートプロジェクト2011〜2014、2018に出演。
沢代キュートン
南郷島守地域の沢代消防団のメンバーを中心に結成されたポージングユニット。地元南郷の夏祭りや結婚式の余興等で注目を浴びている。南郷アートプロジェクト2011の出演を皮切りに、「南郷コシツ(2012)」「南郷コシツ2(2013)」「森下真樹ダンス公演『これって、ダンスなの?』(2014)」「なんごう小さな芸術祭『すまもり村の収穫ショー』(2018)」などに出演。また、南郷外の活動に、八戸市中心街でのアートプロジェクト「酔っ払いに愛を(2013)」の出演などがある。
Augusta Summit Band 浪男's DX
南郷アートプロジェクトの企画のため2011年8月の会議で結成された、浪漫を求める男たちにより、ディキシーランドジャズスタイルのデラックスなジャズバンド。気心知れたメンバーによる、息がぴったりの音は、聞く人の心を躍らせる。破天荒で、奇想天外な芸風で、森下真樹との相性は抜群。代表は楽団アルカディア団長の高中寿貴がつとめる。
島守虎舞
島守地区を中心に組織された、子どもから大人までが活動する《スピリット・パフォーマー》。結婚式の余興や島守春まつり等のイベントに出演しており、地域の方々に親しまれている。